過日、一人のご老人が「子供が現在どこにいるのか探してほしい」と人探しのご相談におみえになりました。
お話を伺いますと、ご相談者は現在T市の精神科に入院しており、十数年前にも精神を患って入院をしたところ、妻から強制的に離婚届に判を押させられ、それっきり音信不通なのだそうです。
子供も病院へ見舞いに来ることなく、この先も一人きりで病院で過ごさなければならないかと思うと、寂しくて悔しくて仕方がないと必死に訴えます。
ご相談者は家族に見捨てられてからというもの生活保護で入院生活を送っており、月に数万円しか手元に残りません。
今までも、さんざん弁護士や司法書士へご相談をされたそうですが、僅かな金額しか支払えない為にどこからも相手にしてもらえず、司法書士から私共のことを聞き、外出許可を取ってご相談におみえになったということでした。
たしかにご老人ということもあって同じ話を何度も繰り返しますが、話にはきちんと筋が通っており、調査に差し支えないと判断したことから、私共の手が空いている時間限定という条件で人探しをお引き受けしました。
孤独で不安な心が少しでも晴れてくれたら……という思いで調査を行います。
精神病院には、このご老人だけでなく、たとえ日常生活に差し支えがなくとも家族の手で無理やり押し込められ、長年出られないご老人がたくさん暮らしています。