過日、精神病院に入院中の70代男性が事務所へおみえになり「10年前に別れた妻子の行方を探してほしい」と人探しのご相談をお受けしました。
ご相談者は在日韓国人で戸籍から辿ることはできないので、直接足を運んで聞き込みに頼るしかない旨をご説明したところ、元奥様のご兄弟の住所を知っているとのことでした。
ご相談者は生活保護を受けており、予算は最小限でとても採算が合うとは思えませんでしたが、寂しそうな姿がいたたまれず、また、元奥様のご兄弟宅へ2回ほど足を運べば何らかの情報が得られるものと判断し、2日稼働の実費経費にあたる6万円のみを頂戴して、私共が空いている時間限定というお約束で人探しをお受けしました。
お伺いした愛知県半田市にある元奥様のご兄弟宅を何度も訪問しましたが、いつも留守で、どなたにも会うことが出来ずにいました。
6回目の訪問時に、元奥様の兄(次男)宅にて奥様からお話しを伺うことができました。
「夫である次男は数年前に他界し、同宅北側の一軒家に住んでいた長男も去年他界した。○○(ご相談者)の元妻と兄弟達は反りが合わず、20年以上前から絶縁状態にあり、昨年、長男が他界した際も葬式に来ることはなかった。
元妻の血縁関係の親族は付近におらず交流もない為、元妻の住所はわからない。
○○は若い頃、元妻に度々暴力を振るっていたので、それが離婚の原因であり、息子は結婚し、元妻はしばらく息子一家と一緒に住んでいたが折り合いが悪く、息子宅も出ることになった。
現在、元妻は娘が引き取り、一緒に元気で暮らしている」ということです。
これ以上の詳細な人探しは予算内では厳しいことをお伝えし、現在、元奥様や息子・娘さんが元気に暮らしていることがわかったので、それで良いのではないですか? とお伝えしました。
ご相談者は病院に外出許可を取り、私共の事務所へ何度もおみえになっていましたが、はじめは虚ろで元気のなかったご相談者も経過をお話しするたびに元気になり、事実がわかったことでご自身も反省をして、ようやく前に進む勇気が持てたようです。
最終的には「この現実を見据えて生きていくしかないね!」と晴れやかな顔で仰いました。
家出調査や所在調査、様々なご相談をお受けしますが、何にせよ、本当のことがわからない状態が一番苦しいのかもしれません。