家出調査で、何とも無念で忘れられない案件があります。
ご相談にみえたご主人は「夫婦で焼肉店を開店する」という目標を持ち、慎ましやかな生活をしてコツコツ貯金をしていました。
夫婦で長年、頑張り続けてきた努力が実を結んで目標額が貯まり、いよいよ夢の実現に向けて店の場所も決め、酒類を搬入し始めていました。
ところがある日、夫婦で苦労して貯めた預金を奥様が全て持ち出し、逃げてしまったのです。
それで、私共に家出調査の依頼をされたのでした。
ご主人の怒りと落胆は半端ではなく、そのような方達の反応を見慣れているはずの私共でさえ、いささか心配になるほどでした。
その後、家出調査により奥様の居所が判明しましたが、ご主人が開店用に準備した酒類を御礼として持ってきたが最後、ご主人と連絡が取れなくなりました。
ご主人は、奥様を自ら車中に連れ込むとダムに行き、そのまま心中なさったそうです。
大量の酒を私共に持ってきた時点で、そういうつもりでいらっしゃったのだと後になって気付き、あの時もっと対応の仕方があったのではないかと大変悔やみましたが、後悔先に立たずでした。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。