裁判・訴訟問題の証拠収集
社員との訴訟問題
社員の数が増えれば、それだけ問題ある社員も出てくるものです。
企業と社員との間には、セクハラ・パワハラ・過労による病・不当解雇・労働成果に対する対価を求めるものなど、様々な訴訟問題が発生します。
訴訟の恐れがある際は、事前に対象社員を調査することによって訴訟を防いだり、解雇の正当性を証明することが出来ます。
調査により、社員側が不利になるような証拠が出てくる場合があるからです。
訴訟において、穏便且つ有利に事を運ぶ為には「証拠」が必要です。
解雇訴訟前の準備
解雇されるような社員は現実問題、実績も能力も劣る社員であり、企業としては繰り返し改善を促すよう指導を行っていたとしても指導の事実を企業側で立証できない場合、解雇自体が無効になってしまう場合があります。
極めて多いのが、問題社員への指導の有無についての争いです。
企業側が「口頭で注意した」と主張しても、問題社員が「そんな指導は受けていない。聞いていない」と主張すれば、結局「言った、言わない」で裁判では立証不十分となります。
解雇訴訟において、問題社員に日頃から注意書を出しておいたかが大きく影響します。
社員の問題点を具体的に指摘した上で「○○といった改善を求む」という注意書が複数回提出されていますと、裁判所も社員の問題点や企業側の教育指導を容易に認定することが出来ます。
正社員の場合は、教育指導の他に配置転換の試みも必要となり、この場合も「度重なる教育指導にも関わらず、元の部署を配置転換せざるを得なかった」という理由が必要ですので、やはり注意書きが重要な意味を持ちます。
社員と反社会的勢力との関係確認
近年、暴力団は組織を隠ぺいする動きを強めると共に、活動形態においても更なる不透明化を進展させています。
多くの企業様が企業倫理として反社会的勢力と一切の関係を持たないことを掲げ、様々な取組みを進めていらっしゃると思いますが、いくら意識の高い企業であったとしても暴力団関係企業とは知らずに取引を行ってしまう危険性があります。
反社会的勢力は企業で働く従業員を標的として不当要求を行ったり、企業そのものを乗っ取ろうとするなど、従業員や株主を含めた企業全体に甚大な被害を与えます。
反社会的勢力と一切関係がないか調べておくことは、企業利益を守る観点からも必要不可欠です。
前田龍生探偵事務所では従前勤務先の商業登記簿謄本などから現任取締役・現任監査役の属性、旧役員及び大株主の属性などを入念に調査し、フロント企業の可能性を追及します。
刑事告発する為の準備
不当解雇と言われない為の準備として証拠を集めたり、反社会的勢力と繋がりがないかを調べることは重要ですが、最も緻密な調査を要求されるのは警察や検察に対する告訴、告発を目的とする際です。
横領事件など社内で発生した事件に関しては、警察が積極的に動かない場合があります。
このような場合は企業側で証拠を集め、嫌疑をきちんと固めてから告訴・告発をする必要があります。
パワハラ・セクハラの事実確認
パワハラとは
「職場における弱い立場の相手に対し、精神的・身体的苦痛を繰り返し与える事により働く人たちの権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為 」であり、ハラスメントであるか否かの判断基準は「執拗に繰り返されることが基本 」しかし「一回限りでも相手に与える衝撃の大きさ」によりハラスメントとみなされます。
厚生労働省は2012年1月にパワーハラスメントの典型例を示しました。
- 暴行・傷害(身体的な攻撃)
- 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
セクハラとは
男女間でのパワーハラスメントの中には性的な嫌がらせが多く存在する為、パワ ーハラスメントの概念の内にセクシャルハラスメントの概念も含まれます。
以前より多くの職場において優位なのは男性であり、男性上司から女性への交際の強要や性的な接触がしばしば起こっても、女性側が退職へ追い込まれていました。
このようなケースが「セク シャルハラスメント」として問題となり、現在では企業側が従業員に訴えられることも日常茶飯事です。
パワーハラスメントの中には男性間で発生する性的なモラルハラスメント(例:男性上司から男性部下への性的侮辱)もあり、このような事例もセクシャルハラスメントに含ま れます。
対価型セクハラの具体例
- 酒席での酌の強要
- 職場での昇進を餌にした性行為・愛人契約の強要
- 取引先との売買契約を人質に取った性行為・愛人契約の強要
- 体を無理矢理触り、拒否できない職務上の立場を利用して嫌がらせを行う
環境型セクハラの具体例
- 性的な嫌がらせ
- 女性従業員による女子トイレや休憩室、男性従業員の前などにおける本人及び他人を 含めた男性の容姿や恋人関係などに関する噂話
- 男性従業員による男子トイレや休憩室、女性従業員の前などにおける本人及び他人を 含めた女性の容姿や恋人関係などに関する噂話
- 職場でヌードカレンダー、水着ポスターなど人によっては不快感を起こすものの掲示、性的な冗談、容姿、身体などについての会話
- 男女問わず、恋愛経験や貞操ついて執拗に尋ねる
- バストや性器のサイズを尋ねる
- 慰安旅行の旅館・ホテルで、女性の浴衣など着用を強要する
- 性的魅力をアピールするような服装や振る舞いを要求する
- 女性に対して結婚、出産のことを尋ねる
- 男性に対して結婚のことを尋ねる
- 職場における男性・女性ランキングを作り公開する
- 男性をソープランドなど風俗店に無理やり誘う
- 男性への裸踊りの強要
- 女性上司から男性部下への強制的な誘い
「男性から男性」「女性から男性」のセクハラは日本では殆ど問題にされず、被害者男性が「男らしくない」「男のくせにそれぐらいで」など、二次被害に遭う事例も報告されています。
法的観点 からみたパワハラ・セクハラ
正当な範囲内の叱責でも 受け手が嫌だと感じ、受忍限度を超えた際はハラスメントとして訴えられてしまいます。
被害者が怪我だけでなくうつ病、PTSDといった精神疾患を発症すれば、労災申請が可能になるだけでなく、被害届が出されて傷害罪や暴行罪に当たる可能性も出てきます。
企業側、従業員側、どちらか一方に偏ることのない事実確認の調査が必要です。
セクシャルハラスメントにつきまして、法律的には2つの段階に区分されます。
一次被害
- 強要(例 部下・同僚の異性の意思に反して性的関係を求める)
二次被害
- 周囲の中傷 被害者のPTSD・ 精神障害(女らしく装うこと・異性を極度に恐れる)
- 被害者の生活破綻(社会復帰や生活が困難になる)
- 人間不信による人間関係の破綻(引きこもり・出社拒否など)
※弁護士には得意分野・専門分野がありますので、労働問題に特に強い弁護士をご紹介いたします。お気軽にご相談ください。